Twitterをダラダラ見続けてしまう、
まとめサイトで有名人のゴシップを次から次へと読んでいくのをやめられない……。
アルコールやギャンブル依存症の末路のように人生崩壊とまではいかなくても、
生活がうまく行かないとか勉強がはかどらないといった悪影響を受けている人はずっと多いはずです。
以前の記事にも書いた通り、私もその一人です。
この記事では人の影響を受けて結局は自分の意志で、
回復の兆しが見えたと書きました。
それから何度も依存の波を繰り返してきました……。
最終的には強制的に、
しかしスマホ自体とは適度に付き合えるツールの導入で今は上手く行っています。
今回は私の備忘録も兼ねて、
ネット依存から身を守る方法を四本立てでお送りしたいと思います。
まず初級編は
戦う相手を知る必要があるということで、お勉強をした経過を書いていきます。
まずはネット依存とはどういうものかを知る必要がある
ネットの依存からどうにか抜け出したくて、
十年近く前からそのような資料はいろいろ読んできたほうだと思います。
当時は「ネット依存」に関する本というのはあまりなかったので、
図書館で見つけたニコチン依存に対する「二重洗脳」という本を、
まずは読み始めました。
磯村毅 著「二重洗脳―依存症の謎を解く」
主に「禁煙」をテーマとした本だったと記憶しています。
なぜ人は依存症になってしまうのか、というお話ですね。
かなり納得するメカニズムが得られました。
特に「失楽園仮説」の話は興味深いです。
詳しいメカニズムは是非読んでみてほしいのですが、
失楽園仮説、これは本当その通りだよなぁと思いました。
本で示しているのがタバコの依存だからそれを例に出しますが、
学生時代にバイトしていたとき、喫煙者って非喫煙者に比べていつもイライラしてる感覚がなんとなくあったんですよね。
私は「ストレスが多すぎるから、タバコを吸ってストレス解消しているんだろう」と思っていました(実際本人もその感覚だと思います)。
しかし失楽園仮説に基づけば、ニコチン依存となってしまうと
ストレスがないはずの平常な状態でも「常に物足りない感覚」が引き起こされるようです。
何にも依存してない人が何もしてない状態をゼロとして
美味しいものを食べるなどの「快楽」を手にした時プラスになるとすれば、
依存患者は何もしてない状態がすでに「マイナス」となってしまうんですよ。
だから依存物を頻繁に摂取して、せめてゼロに持っていきたくなる。
失楽園仮説については、私がいつも心理知識を下ネタで楽しく学んでいる
「マンガで分かる心療内科」の依存症の回がとっつきやすいので、読んでみてください。
マンガで分かる心療内科・精神科in新宿 第46回「依存症は禁断の果実 ~失楽園仮説」
失楽園仮説を主とした依存症のメカニズムを学んだ。
「どういう仕組みで私は今、ハマっているのか」ということに気づけたので、非常に有用な本です。
納得はして、依存物の他にあふれている、楽しさの感覚が薄れてしまうのはいやだな〜と意識するきっかけにはなったんですけど、
ニコチン依存がメインに書かれているのもあってネットの節制についてはただ闇雲に意志力に頼るしかなく、あまり続きませんでした。
奥村歩 著「その『もの忘れ』はスマホ認知症だった」
これも大きな気づきを与えてくれた本でした。
「歳かな……?」と思って病院を訪れる人が40〜50代ということで
その年代の人の話をメインに書かれていますが、
スマホが「第二の脳」となって、自分の脳をほとんど使わない状態になっていること、心当たりはありませんか。
この本を読む前から、私は極力自力で思い出すようにしていましたが、
芸能人の名前が出てこないとあっさり検索してしまう人は多いですよね。
話は変わって。
私は小学生のときに理科の授業で、「落ち葉が積み重なって森が埋まってしまわないのはなぜだろう」という問題を出されたことがあります。
次の授業までとても不思議に思って色々と考えましたが、現代の小学生なら「Google検索すればすぐにわかる」と言うでしょう。
もちろん数学のようにわからない問題を延々と考えても時間を食うだけですが、
私はこの授業は自分で考えた経験があるから、非常に印象的な記憶となっているんですよね。
記憶や思考などをスマホに取って替わられて考えなくなった脳が、
若くして認知症のような症状を生み出してしまう。というのがテーマの本です。
こちらは身に覚えがあったので「確かに」という感じだったのですが、
めちゃくちゃ驚いたのはもう一つのほう。
デフォルトモード・ネットワークという、脳の機能の存在です。
脳のぼんやりタイムを設けよう
携帯電話がなかった時代、
私達は電車でボーッと車窓を眺めたり、待ち合わせ場所で友人を待ちながら物思いにふけったりしていました。
今では細切れの休憩時間や待ち時間、ところ構わずスマホを触っている人が多い印象です。
実は、息抜きをしていると思っていたスマホの使用ですが、
脳にとっては多大な情報の波が押し寄せてくることになり、
かえって疲労を招くことになるんだそうです。
実は前述した待ち時間や休憩時間の「ボーッとする時間」、あれは無駄なんかじゃなくて
脳が無意識下に情報や思考を整理するシステムが働く機能で、脳にとっては大切な時間なんだとか。これをデフォルトモード・ネットワークと言います。
私だけでなく多くの人が、
息抜きと思ってネットを使ってきたのではないでしょうか。
「ぼんやりしてるのは時間のムダだし、それなら何か有益なことを仕入れたい」という思いもありますよね。
しかしそれが脳を疲れさせているのでは、意味がありません。
情報メタボという言葉、すごく的を射てると思います!
デフォルトモード・ネットワークという概念を知ってからは、脳の休憩時間と称し
意識して「ボーッとする時間」を設けるようになりました。
脳の疲れが「うつ」も引き起こす!?
息抜きのつもりのスマホ使用が、むしろ脳を疲れさせている。
この本には「スマホ認知症」にならないための脳トレーニングや、
脳を「休ませる」ための具体的な方法が書かれています。
そして印象的だったのが、情報メタボと「うつ病」の関係です。
脳神経外科医が「スマホ認知症」の恐れ指摘 うつ病の原因にも – ライブドアニュース
(本の著者、奥村先生を取材した記事です)
奥村先生はスマホ認知症による体調不良から、うつ病になってしまう危険性を指摘しています。
さらに、うつ病になると身体や脳を思うように動かせないので、
指と目さえ動かせれば比較的楽に利用できるネットをついやってしまいがちになる。
ただ、情報メタボによって悪化していくなら、控える必要が出てきます。
具体的にどのようにしていけばいいのかもこの本に書かれています。
端的に言うと、猫のようにのんびり過ごすってことですね。
中山秀紀 著「スマホ依存から脳を守る」
この本では、ネット依存というものを
依存物と同棲している状態と表現しています。
男女の関係よろしく相手の性質をよく知らないまま「ずっと一緒にいる」ことは、
時にトラブルを呼び起こす。
すごく上手い表現だなぁと思いました。
その同棲によって人生を狂わされないために相手(ネット)の性質を知る必要があるということで、この本はそういった知識を学べる内容となっていて、
「自分も大丈夫ではないかもしれない」という気づきを与えてくれます。
この本の重要なキーワードに負の強化というものがありますが、
これは前述した磯村先生の「失楽園仮説」と同様のメカニズムを、また違った表現で説明されているものだと思われます。
依存症患者が快楽を得られない状態のことを、
著者の中山先生は虫刺されのかゆみのようだと例えています。
何か熱中できるものが他にあれば我慢できるけど、退屈してると意識してしまって掻いてしまう=ネットをやってしまう、と。
表現が上手すぎる!
なぜ人はネットにハマってしまうのか。どうして抜け出せないのか。
その理由について本を読んで私は、ディズニーランドを連想しました。
もしもどこでもドアがある世界で、ディズニーランドの年パス持ちならつい行ってしまうよなって話。(キャラクターものが2つ共存して複雑な話になってしまった)
実際に本を読んでみたら、意味がわかると思います。
発達障害とネット依存の関連性
以前から私は、発達障害の特性とネット依存には関連性があると思っていました。
- ネットはADHD特有の飽きっぽさを満たせて
- 自分のペースでやり取りができ(視覚優位の人には特に心地良い)
- 現実世界でうまく行かない人でも比較的自分の居場所を持てる
- 衝動性により我慢がきかない
これらの他に、
- ASD特有の突き詰める性質(例えば鉄道のことを延々と調べるとか)
といった特徴があるからです。
もちろん障害の特性を持つからといって誰もがネット依存になるとは思いませんが、少なくとも自分自身は実感している。
そういった指摘をする記事をネット上では何度か見たことがありましたが、
発達障害を持つ人がネット依存に陥ってしまう確率は、そうでない人と比べてはっきり数字に違いがあると述べられている本を、私は初めて読みました。
本では私が実感していた特性よりももう少し詳しく、
ネット依存にハマりやすい発達障害の特性が挙げられています。
ASDの方は関連性がある/ない両方の議論がなされているようですが、
ADHDは確実に関連性があるというデータが出ているようです。
しかも依存による負の強化が影響して、
発達障害の症状をより強く発現させてしまうこともあるのだとか。
人一倍注意が必要ですね。
メンタリストDaiGoブログ記事「ネットがやる気や集中力を奪う」
私がいつも集中力や健康のための情報を参考にしている、メンタリストDaiGoさん。
ネット依存に関しても有用な知識を発信してくれています。
ネットがドーパミンレセプターを壊しやる気を出なくする
初めて読んだときはめちゃくちゃ驚いた知識でした。
やらなきゃいけないことはあるのに、
ついネットをやってしまうという人は多いのではないでしょうか。
私もネットをやりだした高校生あたりから、
勉強などのやる気が起きなくなった実感がありました。
ドーパミンがやる気を司るホルモンだということは広く知られた話ですが、
実は、ネット中毒の状態になってもドーパミンそのものは普通の人と同じくらい出ているのだそうです。
ただ、ドーパミンを受け取る受容体(=ドーパミンレセプター)が少なくなってしまうのだそう。
せっかくやる気物質が出ていても受け取れる器官がなければ、やる気は出てきません。
肥満や麻薬、そしてネットの中毒は脳に変化を及ぼすのですね。
怖い!!
SNSのストレスが集中力に影響を及ぼす!?
コロナ第一波のあたり、
一日中SNSに張り付いてた人も多かったんではないかなと思います。
私も不安でずっと見ていた時期があった。(人に指摘されて、見るのを意識的に控えたけど)
そういう風にSNSでストレスを受けると、その後の集中力も落ちてしまうという研究もDaiGoさんが教えてくださってます。
確かに考えてみれば、ちょっとだけSNSに目を通そう、と思ったときに
トレンドが気になって気づけば30分経ってしまった……って時はザラにありました。
さらに、SNSでストレスを受けた後の作業、
勉強や仕事などをやる時の集中力も落ちるとすれば、
ストレスを受ける可能性を少なくするためになるべく控えたほうがいいですよね。
時間が足りない感覚を引き起こしたり、肥満になったりする!?
他にも様々な悪影響を及ぼすことを書いてくださってます。
ネットにハマることによって単純に他のことをやる時間が少なくなるだけでなく、
焦りの感覚を引き起こす効果があるとの事。
他にも肥満に繋がったり疲れがなかなか取れなかったり、
そういえば最近の心身の不調は全部ネット依存から来てるのか!?というほど、思い当たることが多い人もいるのではないでしょうか。怖いですね〜。
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まとめ
今回は「ネット依存になる理由」や「ネット依存によって引き起こされる怖い影響」について学べる三冊の本、
- 磯村毅 著「二重洗脳―依存症の謎を解く」
- 奥村歩 著「その『もの忘れ』はスマホ認知症だった」
- 中山秀紀 著「スマホ依存から脳を守る」
さらに、
- メンタリストDaiGoのネット中毒・SNS中毒に関するブログ記事
を紹介しました。
まずは戦う相手、同棲相手の性質を知って、
どんな影響を自分に及ぼすのか理解することです。
軽度のネット依存の方なら、
これらの本を読むだけで「こんなメカニズムで依存してしまってたんだな」「怖いから控えよう」と気づき、使用を控えることができると思います。
※なおここで用いている「軽度」といったレベルは、医学的な定義に基づく程度ではありません。私が便宜的にレベル分けしているものなので、ざっくりとお考えください
とは言えスマホというのは身近な恋人です。
意志力に自信のない人は、意識を変えただけでやめるのは難しいでしょう。
そんな人には次のステップです!
中級編は、わかっちゃいるけどやめられない人に向けて
スマホと適度な付き合いをしていく仕組みづくりについて、書かれた本を紹介します。
コメント
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