発達障害をお持ちで、家事や身だしなみなど日常生活の自分の世話がままならない方、
または精神疾患をお持ちのため、動くことがやっとで家事などに手を付けられない方は多いのではないでしょうか。
今回は、ADHDの傾向を持ち普段から家事をすることが億劫だった私が
仕事の心労からセルフネグレクトを行っていたことに気づき、
改善をし始めたという記録です。
発達障害や精神疾患をお持ちの場合、セルフネグレクトに気づきにくいので
気をつけようね!というお話。
なお、タイトルから察していただけるかと思いますが
衛生的に気持ちのいい話ではないので、お食事中の方には推奨しない内容です。
(もちろん実録の写真とかがあるわけではないです、簡単なイラストは描きました)
それでは、行ってみます。
セルフネグレクトとは?
『セルフ・ネグレクト』とは、生活環境や栄養状態が悪化しているのに、それを改善しようという気力を失い、周囲に助けを求めない状態を指します。
「“セルフ・ネグレクト” その実態とは? – 記事 | NHK ハートネット」より
私は、大学で福祉分野の専攻を取っていたのもありその分野での興味関心が強く、
その概念自体は知っていました。
高齢者の孤独死を論ずる場面において多く言及されますが、
テレビで度々取り上げられるゴミ屋敷問題を始めとして
若い層にも無縁ではないと言われています。
まあ私も実家に住んでいた頃は「ものが捨てられない」母親譲りの精神であったし
全くの無縁ではないな……とは思っていました。
引っ越して一人暮らしをするタイミングでミニマリストもどきになったとはいえ、
仕事が忙しくなると家事をやる気が削がれることはもちろんあったし。
ただ実際に自分がゴミ屋敷の住民になることはないな……ゴミがあんまり多かったらいくらなんでも片付けるでしょー、と……。
セルフネグレクトをし始めたきっかけ
間違いなく仕事の心労だと思っています。
今覚えばセルフネグレクトが始まったタイミングは、
派遣社員として食品工場で仕事をし始めたことでした。
7月の末から働き始め、
強い口調で指示を出してくる職場のおばさま方。
最初は「常に怒られてる?」とビクビクしながら働いていましたが
付き合いを続けていくうち、ただ話し方の勢いがあるだけだとわかります。
わかるんだけど……私には過去のトラウマがあって。
私の母は毒親とかではなくあくまで常識的な範囲の教育をしていたほうだとは思っていますが、割と感情的に叱ることが多くて。
ADHD的な不注意でうっかりコップの水をこぼしてしまうとか、そういうミスで怒られるということがあったので、
たぶんそのときのビクビクが無意識的に呼び起こされるんだと思います。
だから、
あちらからすればちょっとした指導のつもりなのだと思いますし、
私も理屈ではそれをわかってはいるはずなのに、
心が強くダメージを受けてしまう。
そんなわけで心にすごいストレスがかかっていきました。
夏の暑さがダメージ&カモフラージュに
そのうえ、2020年夏は尋常でない猛暑でした。
海沿いで首都圏ほどではないにしろ、
やはり暑さは自律神経にダメージを与えていたと思います。
電気代節約で我慢しがちな私もさすがに熱中症になるよりはマシと考え
積極的にエアコンのドライ機能で適温を保っていましたが、
通勤は徒歩なので片道20分間、外気のダメージを受けます。
夏バテは最近はしていなかったとはいえ異常な暑さなので、
まあちょっとくらいやる気が出ないってこともあるだろう……と思い込んだのが、
事態の悪化を招いたと思っています。
週1という休みの少なさ
私はコロナ自粛の際に親に借金をしていて、
急がないでいいよとは言われてますが早く返したいので週6で働いています。
ちゃんとした休息は必要だとは思っていますが
今は自分の意思で、週5を派遣の本業に、
週1(日曜日だけ)を飲食店のアルバイトに割いていて。
本来派遣の休みである週2の休みのうち、1日を忙しい飲食店に捧げているので
もちろん疲れることは疲れます。
ただ私はこちらで「ちゃんと働けている」という実感が持てるし、
同じく働く仲間が優しい(大抵は地元のおじいちゃんおばあちゃんだから可愛がってくれる)のですごく大事な息抜きだと思っています。
でもやっぱり心身の疲れを取るのは一日だけだと足りないんですよね。
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具体的にセルフネグレクトとはどんな様子だったのか
巷で言及されるセルフネグレクトも突然ゴミ屋敷になったわけではなくて、
きっと段階を踏んで徐々にその状況になっていったのですよね。
洗濯が出来なくなった
私の場合はまず洗濯が難しくなっていきました。
私はこの頃洗濯機を持っておらず手洗いしていたのですが。
食品工場で働いてるため手荒れが酷くなっていたのもあり、
風呂場で洗剤を使ってゴシゴシするのが億劫になっていきました。
また職業病として腰痛も酷くなっていたので、
服を手洗いするために腰を曲げる姿勢が取れないっていうのも大きかったです。
まあ、頑張るしかないんですけど……。
自炊が出来なくなった
次は自炊です。
貧乏性だし、その日の気分で食べたいものを作る!ってのが好きだったので
面倒くさがりのくせに元々はわりと自炊をする方だったと思うのですが、
今の派遣先に来てから徐々に作れなくなっていきました。
まあメインとしては食べ終わったあと食器を洗うのが面倒。
これは洗濯と同じで手荒れが酷いからっていうのもあり……。
ミニマリストもどきなので手持ちの食器がそもそも少ないため、
だんだん買うほうにシフトしていきました。
ただ、食べ終わったあとのゴミも捨てられない。
これはおかしいなと自覚を持ち始めました。
猛暑のなか、生ゴミをリビングに放置して仕事に出かける生活。
当たり前ですけどコバエが湧き始めました。
ここらで私はTwitterのフォロワーさんに助けを求めます。
「コバエのおすすめの駆除方法を教えて」と。
しかし根本的な発生源を潰してないから増える一方でした。
溜まったゴミ袋も捨てられない
リビングのテーブルの上が一杯になると
仕方がないのでゴミ袋にゴミをまとめ出します。
しかしそのゴミ袋を回収日に出すのが出来なくなる。
以前もちょこちょこ食べたあとのゴミをリビングに放置しておくことは多少ありましたが(これは単なる私のズボラ癖)、
ゴミをまとめたあと回収日に出すことについては、ちゃんと忘れずに出来たほうだと思います。
ただそれも出来なくなった。
しかも、スーパーなどのゴミ袋有料化によって
気軽に袋を使うことが出来なくなったため、私は生ゴミも密封せず回収用のゴミ袋に放り込んでいました。
数日回収日を過ぎたゴミは当然腐るので、そこがコバエの住処となります。
コバエの卵が大発生の乱(第1試合)
何袋か溜まったある日、そのゴミ置き場にしていたところの床や壁に
何粒もの白ゴマがひっついてるのに気づきました。
「なんだこれ……」
まあ部屋じゅうに飛んでるコバエに心当たりはあって、
しかもゴミのあるところに集中的にゴマがひっついてるので見当はついたというか……。
「ウワアアアアア!!」
半泣きになりながら駆除方法をググりました。
私の場合はそのブツを触りたくはなかったので、
マスキングテープでペタペタと地道に取りました。
時間と労力はかかったけど、
さすがにこんな気持ち悪いのを「やる気がない」って放置してはおけない。
そのときは反省して、放置を重ねていたゴミは直近の回収日に処分しました。
でもやっぱり日が経つと、
動くのしんどいって気持ちが勝ってゴミを放置していったんです。
自炊しなきゃって気持ちの表れでナマものを腐らせる日々
この頃になるともう洗うのが完全に無理になってきていつも食器が空いてないので
自炊を全くしない日々が続いたのですが、
でも気持ちは、「○○が食べたい(だから作りたい)」ってのがあって。
夏も真っ盛りでフレッシュな夏野菜を使いたいっていうのもありました。
ナスやパプリカ、ゴーヤなど、
スーパーで見かけては「数日後にこれを使って何か作ろ〜」と思って買う。
でもいっこうに、そんなやる気の出る日は来ない。
わざわざお金を出して買ったものを、腐らせる日々。
もともと貧乏でそういうのにすごく罪悪感を感じるのに、
何度かやってしまい、悲しくて、情けなくて。
結局割り切ってこの頃から昨年末に至るまで完全に自炊をやめています。
コバエの卵が大発生の乱(第2試合)
自炊はやめたもののゴミは出ます。
いつも通りテーブル上にゴミが溜まって乗り切らなくなり、
仕方なくゴミ袋にまとめだしたときのこと。
ゴミの地層を削っていくと、最下層。
(うげ、生ゴミ忘れてたのか……)
スイカを食べたあとにゴミを重ねてしまっていたようです。
後悔とともにテーブルに広がる汁を拭こうとしたその時。
「ギャアアアアアア!!」
NHKのアニメのニャッキって知ってます?
あんな感じで、ピロピロと動いているものが見えました。
未だに部屋にはコバエが飛んでいました。
ゴミ袋置き場の壁には白ゴマ……。
卵があって成虫のコバエがいる、ということは
その間の幼虫もいるってことですよね。
なんでこんな簡単なことに気づかなかったんだー!!!
コバエの幼虫……つまりウジですよね。
未だに思い出すとゾゾッと寒気がします。
頑張ってティッシュで地道に潰して処理しましたよ。
もうあんな思いはしたくねえ……!!
セルフネグレクトに気づいた瞬間と、気づかない理由
セルフネグレクトは誰でも起こりうるというのは、
ゴミ屋敷や孤独死をテーマとしたワイドショーやドキュメンタリーで
自身もそれなりに理解していたつもりです。
番組なんかでは親の死が引き金になり無気力になって、
どんどんゴミが溜まっていったとか。
でも発達障害があったり、精神に何らかの異常を来たしていると
その「境界線」がわかりにくいと思うんです。
もともときちんと出来ていた人ならいざ知らず、
障害特性でそもそも自分の世話がうまく行かない人も多い。
だから端から見て支援がないと抜け出せない領域に入っているのに
今はいつもより輪をかけてだらしないだけなんだとか、
ちょっと仕事で疲れてしまって普段よりも出来なくなってるだけだよね、とか。
そうやって気づかないうちにどんどん酷い状態にまで行ってしまう。
私も、もともと片付けが得意ではないほうだし
家事も全く出来ないわけではないけど面倒くさがりではあるから、
仕事の疲れが出てて気が回らなくなってるだけだろうな、と。
そんななか自身の状態がセルフネグレクトであると認識できたきっかけは、
特に決定的なものではないです。
ただ単に「セルフネグレクト」という概念をふと思い出しまして。
ゴミとコバエに囲まれて、場合によってはベッドにたどり着くこともせずリビングで気絶するように寝落ちする。
その状況を客観的に考えてみるとまさに当てはまるのでは、と気づいたという。
ほんでコバエのウジが湧いた事件によって、
「さすがにやべえな自分……」と動き始めた。
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セルフネグレクトから抜け出すための具体的な行動
真新しい対処法ではありませんが、
メンタルクリニックへ行くことにしました。
過去に発達障害を疑って地元の病院に行ったことはありましたが、
その時はどこにもかかっていなかったので。
今は発達障害のお薬(ストラテラのジェネリック、アトモキセチン)を飲んでいます。
薬が劇的に効いて抜け出せた!ってわけでもないんですけど、
(家事が段階的に出来るようになるまでそこから数ヶ月かかっています、これはまた後で詳しく記事に書こうかと)
あのとき相談しなければ最終的には死に繋がっていたかもしれません。
衛生的にもよくありませんし、
なにより「自分を大事にできていない」状態が続くというのは、思ったより心身にダメージを与えるんですよね。
完全ではないにしろ抜け出した今だからこそ思います。
もともと病院にかかっている人にとっては「なんだ結局病院かあ」って話になると思うんですけど、
「自分が自分をネグレクトしてる状態」ってのを客観的に自覚して相談してみてください。
まとめ【セルフネグレクトはけして他人事ではない】
片付けができない、やらなきゃいけないことができない。
子供の頃からだらしなかったけど、最近輪をかけてだらしなくなったな。とか、
うつの影響で出来ないことが増えたのは日常だけど、
最近何も出来なさすぎる……まるで自分をじわじわと死に追いやってるみたいだ……ということはありませんか?
知らず知らずのうちに精神を蝕む悪循環に陥り、
「自分なんてどうでもいい存在」にさせてしまうセルフネグレクト。
怖いですよ。
まずは気づき、
しかるべき機関や病院に相談すること。
外から見えるほどゴミが溢れたり異臭がしたりするレベルでなければ、
ゴミ屋敷が他人から気づかれることはほぼありません。
あるのは、最悪の事態で死んだとき、とか。
だから境界線を超えてしまったかどうかは自分で判断するしかない。
私はほんと他人事だと思っていた死が自分にグッと迫ってきた気がして、
恐ろしいことだと思いました。
あなたも、気をつけてくださいね!
コメント
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