発達障害者のコミュニケーション対策におすすめの本2選

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発達障害……特にASD傾向をお持ちの方は、
仕事中など雑談をどう行ったらいいかわからない人も多いことでしょう。

うまく会話が続かなくて、変な空気になったり。
肝心の仕事ではないところで悩んだり評価を下げることほど、つらいものはありません。

そんなコミュ障のひとりである私ですが、
これまで何度かコミュニケーションに関する本を読んできました。
会話術といったタイトルの本。でもどれも無口な私を変えるまでには至りませんでした。

そんな私が、これまででとても参考になったと思う本を紹介します。

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よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑

「よけいなひと言」というのは、
ちょっとした言葉選びで相手がカチンときてしまうような言い回しなど。

たとえばコミュ障さんに限らず「つまらないものですが」という言い回しは、定型文でありながら、
「つまらないものを私に寄越すのか!?」と思われる可能性もあるということで、
あまり良くないとされます。

私は、きまり文句になっているから問題ないだろうけどその一方で、
やっぱりこういう言い回しは誤解を招くこともあるから言いたくないなあと思っていました。

私はADHDはともかくとしてASDの診断は特にされていませんが、
ASD的な側面の感情もあるんですかね。思ってもいないことを言いたくないというか。
こっちだって人に渡すものとして、とっておきのものを選んでるというプライドはあるんですよ。

ではどう言えばベターなのか。誤解を与えない言い方はどういうものなのか。
この本は、そういったことを教えてくれる内容となっています。

ちなみに「つまらないものですが」は「気持ちばかりですが」と言いかえがなされています。
こう言えば、相手がチクチクと気持ちをささくれ立つこともないでしょう。

主張を「言い訳」に捉えられて損をしてしまわないために

日常的に「言った」「言わない」の行き違いが生じることはよくあるものです。

私は職場で、ASDっぽさが強いなーと感じる人が何人か思い浮かぶのですが、
主張を通すときの言葉選びがあまり上手くないおかげで、「言い訳ばかり」「わがまま」と捉えられていて、他人事ながらもどかしい思いをすることがあります。

まあ私も、とっさにうまい言葉が選べないばかりに無口になることを選んでいるので、
「こう言えばいいのに!」としたり顔でアドバイスすることはできませんが……。

この本で取り上げられている一例としては、
なにかトラブルがあったときに「私はそんなこと言ってません」と口にすること。

もちろんトラブルそのものにおいて、本人に非がないケースはあります。
あるいは双方の認識違いで、どちらが悪いわけでもなかったりします。

しかしその場面で「私は悪くない!」と言わんばかりの主張をするのは考えものです
時には喧嘩になってしまいます。
そういう場面に私は何度も出くわしました。

だからといって完全に自分に非があるというわけでない場面で、
「すみませんでした私が悪かったです」と言いたくないのもわかります。

この本では、「私はこのように認識していました」という言い方を勧めています。
まずはお互いの事実確認をして、次にトラブルを起こさないために対策を考える。

私自身は、言った言わないの押し問答になっても面倒くさい……というか。

ADHD的な自信のなさで、自分に非がないと思っていても反射的に自分が悪いと謝ってしまうことがあり、
そういった人にとってもこの言い方は有用だなーと思います。

まあこっちの認識違いがエキセントリックだったりするんですけどね(笑)

あいまいな指示に対してもツッコんでくれている!

私がこの本を知ったのは本屋さんで平積みされていたのを見かけたのがきっかけです。
今、この記事執筆時点で本の公式サイトでは、40万部突破と書かれています。

それだけ多くの人に読まれているのは、発達障害をお持ちの方に限らずコミュニケーションにおいて「もっとうまい言い方ができたらな」と悩んでいる人が多いからでしょう。

自分自身が「こう言えばいいんだ!」と思った内容とは別に感心したのが、
あいまいな表現」への言及です。

「ちゃんと しっかり 徹底的に」というような言い方をせず、
「この作業はここまでやってください」と具体的に指示をする

「できれば早めにお願い」じゃなくて、「月末までに」とお願いする。

発達障害者でこのようなあいまいな表現に悩む人は多いと思います。
指示の意味が理解できず失敗する。
でもこれは、指示する側が具体的に指示できてないケースも多いんですよねきっと。

程度問題はあれど、定型発達の方でも悩む人はいるんだろうなと。
誰もがわかりやすい指示を出せれば、みんなに優しい。

そんな、相手を混乱させない「気づかい」の片鱗がうかがえる気がして、
この項目は特に印象深く感じました。

気づかいというものは、そこまで気が回らない人にとっては即興で取り組むのが難しいけれど、
こうやって紙ベースで勉強してトライアンドエラーを繰り返していけば、なんとなくそれっぽい気持ちが伝わるようになります。

「ああ、こんな感じの言い回しをすればいいんだな」ってパターンが学べて、とても参考になる本です。

超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係が築ける

こちらの本は、「言い方」というよりも「雑談」そのものをどう進めていったらいいのか、
雑談における心持ちのようなものを教えてくれる内容となっています。

私には、雑談をする目的がどうしてもわかりませんでした。

仕事をする上で私語というものはなるべく控えなければいけないもので(自分としてもマルチタスクが苦手なので、仕事を集中するためにはあまり話せないし)、
趣味とか年齢が似ているわけでもない人と、何をどうやって話したらいいのかわからない。

もちろん、なんとなく「仲良くするために行われている」というのはフワッとですが認識していたつもりです。
でも共通する趣味がないのに何を話すのか……。

この本では、雑談というのは会話のラリーで、結論や解決策を求めるものではなく。
雑談を続けることによって人間関係を構築していくものであると繰り返し述べています。

だから芸人のようにおもしろいオチや、愚痴への具体的なアドバイスはいらないのだと。

これにはなんだか衝撃を受けました。
私なんぞの話に誰も興味はないだろう。だから芸人のようにオチのついた面白いエピソードトークじゃないと、話題になんて出しちゃいけないくらいに思っていた気がします。

また、ASD特性が強い人は、会話を「情報交換の手段」と認識していて、仕事の話は出来ても雑談は苦手という人が少なくないと言います。

コミュニケーションが苦手ということでそんな特性も少しはあるな、とは自覚があった私ですが、
案外自分が認識していたよりももっと強く、情報交換の手段として捉えていたようです。

この本は、発達障害者向けのコミュニケーション対策というわけではありませんが、
「仲良くなりにくい雑談」の典型として「情報交換としての会話」が挙げられています。

情報ではなく「気持ち」をやりとりする

雑談にオチやアドバイスは要らない、じゃあどうすれば?という話ですが。
この本では情報ではなく、「気持ち」をやり取りするのが雑談だ。と述べられています。

私は、人が「こう思うんだ」ということを頭ごなしに否定しようとはしません。
たとえ内心は「ちょっと違うんじゃないかな」と思うことでも、「それがあなたの気持ちなのね」ということを大事にする。

これは、大学で相談援助の勉強をしたことで後天的に身についた部分も多いと思っています。

ただ、天気や気温の会話での否定や訂正はやってしまっていました。
それはやはり、情報交換として正しい事実を伝えなければ!という気持ちが大きいからなんだろうなと。

もちろん、この本に書いてあること全てが世界のスタンダードである、とは思っていません。
天気や気温の訂正は悩み事や主張の否定と比べれば、相手を不快にさせる要素はそこまで大きくないんじゃないかと。

正しい情報を求めている人も多いでしょうし。

ただ、会話のラリーという観点で見てみれば、否定というのは話の流れがストップするというか。共感して気持ちのやりとりが進む、ということが起きにくいのは、過去の自分の会話を思い出しても明らかでした。

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なぜ雑談は必要なのか?最低限の情報交換ではいけないのか?

キャッチボール

実は一冊めに紹介した本「よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑」においても、会話のラリーについて言及がありました。
とてもわかりやすい例えが載っていたので引用して紹介します。

会話はキャッチボールと同じです。「そんな球はとれないよ」「そのやり方は違うでしょ」とばかりに、相手から飛んできた球をはじき返せば、誰でも「せっかく投げた球なのに!」とムカつきます。(中略)
たとえ、相手の言っていることが間違っていると思っても、飛んできた球(言葉)はいったんキャッチするのが、会話上手な人のルールです。

大野萌子 著「よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑」

キャッチボールを続ける。そういう観点で会話を成り立たせてみる。

私自身、自他ともに認めるコミュ障なので、
「なんでああいうことを言ってしまったんだろう」「あそこで上手く返せない自分クソすぎ」と反省しっぱなしです。

ただ学生時代ほどはコミュ障である自分を責めなくなったというか、まあそれなりに周りと良好な関係は築いとこう……ぐらいに思っています。

疲れる。けどそれなりにコミュニケーションを取りたいのは、
いざという時に助け合える関係を求めているからです。

人よりもミスや誤解が生まれやすい特性。

ということは四面楚歌な状況、もしくは得体のしれない存在として腫れ物扱いよりは、
何か問題が起きたとき誰かに助けてもらえる環境のほうがずっと良い

もちろん、わざとじゃないのに人を傷つけたりイラッとさせたり、
そういうことが起きやすい特性ではあります。
私は、発達障害の特性は手帳が取れない程度には弱めだから、理解して実践しやすい部分もあるでしょう。

だから全ての発達障害者が、この本を読んだからといって今すぐ周囲と友好な関係性を結べるとは限らない。

でも、定型発達の方がこういうときにどう考え、
何を求めているのか、という片鱗をうかがい知ることができる。

私自身、本を読んだからといってガラッと変化があって、
雑談を大いに楽しめるようになった。というものでもないです。

普通に一対一で沈黙が訪れてることはよくあります。
でも前よりは、会話を自分の番でストップさせてラリーが一往復すらしない。ということは少なくなったかな。

最低限でいいので、「敵意はないよ」「わざとじゃないよ」というのが伝わる振る舞いを学び、一生懸命に実践していけば、
その気持ちは不器用でも、少しずつでも、相手に伝わっていくと思います。

「言いかえ図鑑」と「超雑談力」で好かれるコミュニケーションを学ぼう

紹介した2冊が共通しているのは1ページごとに特定のシチュエーションにおいてOKバージョンとNGバージョンが提示されていて、わかりやすいということです。

見出しなんかで整理されていてどんなにわかりやすいことが書かれていても、つらつらと書かれた文章は記憶に定着しづらいです。
ポンポンと頭にいろんなことが浮かぶからかしら……。

1ページごとに具体的なセリフが書かれていると、そのシチュエーションごとのインデックスとなり、ザッとOKとNGを見比べることができます。
「こういう場面ではこんな言い回しだと余計な勘違いを生むんだな……なるほど。じゃあこう言えばいいのか」と具体的な場面が頭に浮かび、記憶に残りやすいんです。

実際にNGバージョンは私が言ったことあるな。もしかしたら相手にこう思われてたかもしれない。じゃあ次はこうしよう。と気付きになります。

ちなみに、「超雑談力」の作者の五百田さんが執筆した「話し方で得する人損する人」という本もとても勉強になります。
こちらもOK(得する人)とNG(損する人)の対比になっていて、わかりやすいです。

今回は、発達障害者のコミュニケーション対策におすすめの本を2冊(+おまけで1冊)紹介しました。

これらを読んで、少しでも円滑なコミュニケーションが取れるようになる仲間が増えたらいいな。
私ももういっちょ頑張ります!

人生はトライアンドエラーの繰り返し!!

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