売れる曲を作ろう、と本人たちが気合を入れて作った狙い通りに、
2019年巷でめちゃくちゃ流れまくったKing Gnu「白日」。
音楽的センス、というか楽曲の魅力は言わずもがなですが、
そこら辺は素晴らしい耳と音楽の知識に長けたライターの方に任せるとして。
この曲の歌詞が、「心に傷を負った人」に刺さりまくっている気がして。
メンタルよわよわでガラスのハートを持つ筆者が、
その理由を自分なりに紐解いていきます。
「悔やまれる過去」がある者に強く響く歌詞
この曲は坂口健太郎さん主演のドラマ
「イノセンス〜冤罪弁護士〜」のタイアップとして書き下ろされた曲でした。
ドラマの内容はタイトル通り、
冤罪をかけられて困っている依頼者のため
主人公が謎を推理し、弁護をしていく話。
ドラマの内容を受けて書き下ろされただけあって
歌詞は「罪」というものに焦点を当てています。
でもそれは、冤罪被害者に絞ったものじゃなく
たくさんの人が感じる普遍的な罪というか。
私達が日常的に犯してしまう「罪」について
歌っているようにも聞こえてきます。
時には誰かを
King Gnu「白日」
知らず知らずのうちに
傷つけてしまったり
失ったりして初めて
犯した罪を知る
戻れないよ、昔のようには
煌めいて見えたとしても
明日へと歩き出さなきゃ
雪が降り頻ろうとも
この歌い出しがすごく良いんですよね。
「過去には戻れないからどうしようもないよ」と突き放されているようでいて、
歌声は優しく寄り添っているようで。ファルセットって言うんですか、憂いもあって。
傷つけるつもりはなかったのに
発言ひとつで、誰かを傷つけてしまうことってありますよね。
これってリアルじゃなくてもSNSでも日々起こっています。
何が正義か。
正解なんて立場によって変わります。
謝って修復する関係もあるでしょう。
でも、二度と戻らない関係もある。
もしかしたら表向きは仲直りしても、
「でもあの人はあの時あんな風に言ってたし」と。
いつまでも相手の心の中にわだかまりが出来たままかもしれません。
でも、進んでいくしかないんですよね。
Vo.井口さんの優しい歌声で希望のうたのように錯覚することもあるのですが、
この曲は全編にわたって
「時は戻らない」ということを歌っています。(ぺこぱのネタのようにはなれないんだ…)
誰かを傷つけることを恐れても仕方ない、割り切って進もう
いつだって人は鈍感だもの
King Gnu「白日」
わかりゃしないんだ肚の中
それでも愛し愛され
生きてゆくのが定めと知って
人を傷つけた経験があると、次に人に接するのが怖くなる。
そんな経験はありませんか?
私は自分の意思を人に伝えられないことがよくあります。
いつも主張しない、本音を常に隠している人間は、
どんな人かがあまり見えてこないから人との繋がりが希薄になりますね…
そしてそんな自分に一層嫌気が差したりして。
結局は、
自分以外の人の気持ちなんて100%理解できるわけがないんです。
(似たような価値観の人を探すことは出来ますが)
知らないうちに傷つけてしまってるかもしれないし、
相手の思わぬところで傷つけられてる自分もいる。
人生ってそういうものなんだなって。割り切るしかない。
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余計なものを削ぎ落として聴くことに集中させるMV
はい私はアホほど見ましたこのMV。
観たことない人はまず観てほしい。
モノトーンでシンプルに、余計なものを置かないからこそ、
歌詞がすっと頭に入ってきます。
色というのも視覚情報のノイズになるのかもしれませんね。
「白日」というタイトルにもカラーが合っている。
「シンプルで飽きない」ってのは日用品?無印良品の商品なんかに
使う言葉かと思いますが、
ことエンターテイメントだとシンプルすぎるのは「飽き」に繋がることもあります。
でもこのMVはなんだか飽きずに観続けられるんですよね。
私だけでしょうか。
優しさと包容力を感じる歌声の井口さんが白い服、
今回その歌声に深みを持たせる「影」のような役割をしている常田さんが黒い服を
着ているというのも、すごく良いですね。ツインボーカル活かしまくってます。
その二人だけでなく、ドラムの勢喜さん、ベースの新井さんも
しっかりと存在感を放っています。
当たり前のようだけど、ボーカルしか映らないバンドMVって多いからね。
まとめ
なぜ心に傷を負った人に白日が刺さりまくったのか。
それは、歌詞が「人との関わりのなかで傷ついた人」を主人公にしていて、
それでいて無理に明るく励ますわけでもなく
「人生ってそういうもんだから進むしかないよな」というスタンスが
時代にマッチしたからではないでしょうか。
導入部で「心に傷を負った人」という書き方をしましたが、
私はさいしょ「社会で揉まれてメンタルをやられてしまった人」を想定していました。
でも人と人との間で傷つくのは、今の世の中で頑張って生きている人
みんなが経験してることなのかもしれません。
今明るく幸せに生きている人にも、大なり小なり何らかの辛い経験があるかも。
だからこそこの曲は広く日本で流行し、
多くの人に聴かれているのではないでしょうか。
いい意味での「諦め」を、くれる曲です。
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